2011/8/29

アラバキから帰宅。これはまた別で書く。

帰宅後モーレツな眠気に襲われつつ、気持ちだけでも日常へ戻そうと近所のスタバへ。なにしろ明日の晩には最終校正を戻さなければいけない。無理に作業してミスるより集中してボーッとしたい。そんな調子で周りの恋バナなど盗み聞きしたりしながらふぬけ状態でいたら、なぜかうじうじのスイッチが入ってしまった。休み明けにありがちな気分の落差、とかその類いではなくて、いろいろ思い出してはうじうじ、起こってもいないことを妄想してうじうじ。私がいちばん陥りがちなうじうじスタイルだ。あああもう脱したい、誰かのせいにしたーーーーい! と、ほんの数時間でここまで意識できたのはいいほうだと思う。半分やけくそになりながらふらふらと帰宅、歩いているうちに少し気分が晴れた。

家に帰ってすぐ、火星の庭(これもまた別で書く)で購入した「てくり」を読む。何気なく読みはじめて、ぐらぐらしてしまった。特集の「伝える仕事。」、それに、冒頭のブックイベント「モリブロ」後の編集会議トーク。特にトークと、リヴァープレス社の加藤氏のインタビューは時間をかけて噛みしめよう、と思った。トークの何気ない一言ひとことから、「会いたい人に会い、話を聞く」行動と姿勢をとても大切にしていることが伝わってきた。この特集で、この(たぶん)正直なトークをばん、と冒頭に持って来れるなんて、すごい。声明みたい。それを裏付けるように、「伝える人」へのインタビューが続く。ひとの姿を伝えるのに適温で、自分の中にするすると入り込んでくるような記事で。

それで、なんでか若干落ち込む。もういちど編集の役割についてみたくて、書く仕事はその修業のひとつとも思っている。でも、書くこと事体を職のひとつとして自信をもてるようになったらとてもうれしい(というか正直どちらへ流れてもいい)。整理がへたくそで語彙が少ないけれど(ブログなんかは特にそうだ)、もともと文を書くことは好きだった。なのに、最近は「正しいか、まちがってないか」ばかり気になって、答え合わせをしながら書いている。そんな感覚がつらくて長文回避、「つぶやき」のスタンスに開き直ってみたり。たまに書く機会があれば結果仕上がった文章が非常に押し付けがましく感じられて、もう、下手でもいいからするすると楽しく書いていた頃に戻りたい! もう嫌だ! バカが武装して書いてる感じ丸出し! 不細工の厚塗り! ビンボーが借金して着飾ってる感じ! など(大げさかもしれないけど、喋るのとかメールとかもこわくなるのよ、してたけど)。
これ、仮にも名刺にライターとのせているひとにとっては禁句だよなぁ。でもここ、越えないとだめだと思っている。話がそれたけど、とにかく「てくり」の心地良い温度で書かれた記事とスタンス(冒頭のトーク参照)を読んで、なかみもないのに私は何を書いているんだ、ホントにそれで伝えつづけられると思ってんのか、と落ち込んだわけです(あかんーー、いつにも増して本音御免)。せっかく、ひとに話を聞いて伝える機会をいただいたり、作ったりしてるのに、きちんと適温で伝えられていなかったらどうなる。それこそ加藤氏の言葉にみつけた「情けに報いて(と書いて情報)」ないじゃないか。書けずに嫌気がさしていたのはなかみのない自分自身に対してで。うすら気づいてはいたんだけど、きちんとこの作業に向き合って、自分の一部を得たいならば、ちょっとずつ咀嚼して「等身大サイズ」を膨らませていくしかないんだろうな、と気づかされる。「てくり」の記事はいつも読んでて心に残るけど、今回は改めて、テーマや制約の中でのびのび書かれた記事に数日ひきずられる、そういう感覚を思い出した。中高生の時、音楽雑誌のインタビューを読んで受けたあの感じ。ジャンルは違うんだけど、受けた感覚は近い。
ああ、いいなあ。難しい言葉なんて使えなくてもいい。ちゃんと自分が納得できる感覚と範囲で、読み手への隙間をもたせたかたち*1で伝えるようになりたい。半年前、そんなことを今よりももっとぼんやり思っていた頃、たまたま出会った方からもらった言葉を思い出す。65歳位の新聞記者のひとに「あんた大丈夫だよ。ただし甘い。もっと、自分自身が媒体であるという意識を持ちなさい」 と、ありがたいお説教をいただいた。 それから「そうなりたいなら5年はふんばれ。今はとにかく何でもやる、そういう時期。大丈夫だよ」。これは、ジャンルは違うけどフリーの先輩から。思い出した。今はまだまだバカだけど、でもやるんだよ。
答え合わせの文はいったんやめ。下手でもいいから言葉にする。覚えたての言葉は使えるようになるまで咀嚼する。道具を使いこなせるようになって初めてあか抜けるはず。そのへん、きっと化粧と同じだと思う。答えよりも、応えのあるものをつくりたい。

*1:このブログ書いた後ロキノンのライブレポート読んで、説明する文じゃなくて想像させる文章を書けるようになりたいんだとおもった